◆◇六つの紋章をめぐる物語◇◆

創世記

6.風の章 天地創造―その4




風の紋章の召喚歌から紡がれた精気エレメントは、天を吹き抜ける風を呼び、雨雲を遠くへと押しやった。
その後には、大地と海と、その間に打ち寄せる汀みぎわが伸びていた。

雨が去ると、地面に最初の植物の芽が頭を出し、瞬く間に大地を覆い尽くした。
波打つ海には魚が泳ぎ、その上空を風に乗って鳥が飛翔した。
汀には砂浜の虫達が現れ、それを食べる四つ足の生き物が現われた。

風は雨雲を呼んだり去らせたりを幾度も繰り返し、そのたびに生き物が増えていった。
最後に人間が現われたのは、幾千回と雨が降った後のことだ。


紋章の怪物たちは人間がとても気に入ったので、召喚歌を歌うことを教えた。
紋章の怪物たちによって創られた人間は、あまり上手く歌うことができなかった。
だが、紋章の怪物には出来ないことが出来た。
光の子によって何も定められていないので、精気エレメント以外のものを召喚することが出来たのだ。
紋章の怪物たちはそれに大喜びした。
彼らは同じ歌を歌い続けることに飽々あきあきしていたのだ。