初め、この世界には光があるだけだった。
そこで光の子らは、死の世界から闇を呼び寄せることにした。
しかし闇は光の子らの呼び声を無視した。
死の世界で静かに眠っていたかったのだ。
いくら呼んでも応じないので、光の子らは闇の召喚歌を詠唱し、闇を死の世界からこちら側に引っ張り出した。
光の子らは闇の躰からだから生まれた。
だから、闇の弱点であるその歌を生まれながらに知っていたのだ。
強引に引っ張り出されて怒った闇は、こちら側に現われた途端に光の子らに襲いかかった。
光の子らの歌う口に咬みつき、舌を喰いちぎって二度と歌えないようにした。
そして再び死の世界に戻っていった。
さて、
光の子らは闇を取り逃がしたものの、その躰の一部を手に入れた。
その躰の欠片で、六体の怪物を創った。
これらを闇の召喚歌を歌えなくなった自分たちの身がわりにし、それぞれに紋章を刻んだ。
これが六つの紋章と呼ばれるものである。
一つが光の紋章で、これは天界を顕あらわす。
一つは闇の紋章で、これは死界を顕す。
一つは土の紋章で、これは大地を顕す。
一つは水の紋章で、これは海を顕す。
一つは火の紋章で、これは物質の活力を顕す。
一つは風の紋章で、これは生命の活力を顕す。
紋章たちは、アズヴァーン世界の中心に於おいて、この世の終わりまで闇の召喚歌を歌い続けるよう定められた。
光の子らは、今度は気をつけて、闇自身を引っ張り出すのではなく、闇の精気エレメントを引っ張り出した。
闇の精気は、紋章たちに引っ張り出されると、
光の紋章からは光の精気に、
闇の紋章からは闇の精気に、
土の紋章からは土の精気に、
水の紋章からは水の精気に、
火の紋章からは火の精気に、
風の紋章からは風の精気に、
なった。
こうして、この世界は六つの精気によって顕現けんげんすることとなったのである。
光の子らは言った。
「さあ、準備が整った。世界を壊し始めよう!」
アズヴァーンの子らよ、このことを心せよ。
我らの世界が六つに分かれているのは、このためである。