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しかし、他の三人の息子はそうではなかった。
父親の財産を譲られた者など誰もいなかったのに。
選よりにも選って、末っ子の風の息子が出し抜くとは!
風の息子が父親に無視されているのが余りにも当たり前の状態であったので、三人はこの異常事態をひどく不吉な前兆のようにかんじた。
異常は早めに排除し、平和を取り戻さねばならない。
土の息子と水の息子は色めき立ち、すぐにでも父親のところへ行って抗議しようと口々に言った。
だが火の息子がそれを止めた。
なぜこんな気まぐれを起こしたのか、父親の真意が分からない以上、あからさまに不満をぶつけないほうがいい、と火の息子は言った。
父親と衝突すれば、こちらは敵対者になり、ますます風の息子が父親の寵愛を独占する結果になるかもしれない。
それよりも、自然にこの状態が終わるように仕向けるのだ。
例えば、風の息子が不幸な事故に遭うとか。