ヴノンは大きな川グリーナの畔の小さな村エイヌで生まれた。
彼が赤子の時、この村はミストラート人に襲われた。
ミストラート人は、貴金属に食料に家畜に女子供に若者、価値のありそうなものは何でも奪い取っていく。
ヴノンの両親は、赤子の彼を竈かまどの中に隠したが、見つかってミストラートの地へ連れ去られた。
ヴノン≠ニは、彼を連れ去ったミストラート人がつけた名で、竈という意味だ。
ヴノンの両親がつけた本当の名前は分からない。
ヴノンは生涯両親に再会することはなかった。
ヴノンを連れたミストラート人は、船に乗ってミストラートの地の港トリスティカスに入った。
その市の神殿にヴノンは納められ、馬丁となるよう育てられた。