◆◇六つの紋章をめぐる物語◇◆

創世記

7.光と闇の章 アズヴァーンと六つの紋章の顛末


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怪物たちのアズヴァーンを見る目が、俄にわかに変わった。

「おお、アズヴァーンよ! どうか頼む、私たちを模した怪物を創ってくれ!」

怪物たちは、アズヴァーンに向かって吠えるように懇願こんがんした。
アズヴァーンは驚いて問い返した。

「私にあなた方の偽物を創れとおっしゃるのですか? なんのためにそんなことをするのですか?」

紋章の怪物たちは答えた。

「もちろん、私たちと役目を代わってもらうのさ!」

アズヴァーンは恐ろしくなった。
自分が創った偽物の紋章の怪物に世界を創らせるなんて。
そんなことが許されるとは思えなかった。

紋章の怪物たちにせっつかれ、アズヴァーンは嫌々召喚を始めた。
失敗ばかり繰り返した。
闇に棲まう精霊たち――土鯨バハムート、火蜥蜴サラマンダー、水馬オンディーヌ、風狼シェルフなどが、このときに生まれた。
アズヴァーンが創る怪物は、どれもこれも紋章の怪物たちにまるで似ていなかった。
紋章の怪物たちは次第に苛いら立ちを募らせた。

「なんだまた失敗したぞ! こらお前、やる気はあるのか? もっと真剣にやらんか、この間抜け!」

紋章の怪物たちの罵声は、日毎ひごとに辛辣さを増していった。
アズヴァーンは紋章の怪物たちの期待に答えようと辛抱強く召喚を続けた。
彼はとても純朴な男だったのだ。
彼にとって六体の紋章の怪物たちは偉大な創造主で、彼らの命令に逆らうなんて考えたこともなかった。
同時に、偉大な紋章の怪物の偽物を創るなど、畏おそれ多くて全く気が進まなかった。
この矛盾を乗り越えることなど、単純な彼にはできなかった。